「1と自分自身以外に約数を持たない自然数(1は含まない)」を「素数」と呼び、
素数でない1より大きい自然数を「合成数」と呼ぶ。
※素数は、英語で「prime number」、
ドイツ語で「
素数は、それが大きな素数でなければ、
エラトステネスの
素数2は、唯一の偶数の素数であり、これを「偶素数」と呼ぶ。
即ち、2以外の偶数は、2で割り切れるので、合成数である。
同様に、3の倍数、5の倍数、7の倍数、…の順に合成数を取り除いていくと、
最終的に素数のみが残る、というのが
「エラトステネスの
因みに、100以下の素数は25個存在し、小さい順に次の通りである。
2, 3, 5, 7, 11, 13, 17, 19, 23, 29, 31, 37, 41, 43, 47, 53, 59, 61, 67, 71, 73, 79, 83, 89, 97
この方法によって、上限に設定した何らかの数以下の全ての素数を
列挙することができるが、大きな素数を見つけるのには時間がかかる。
この定理は、Wikipediaでは、「二個の平方数の和」という
タイトルになっているが、呼び方が定まっておらず、
「フェルマーの4n+1定理」、「フェルマーの二平方定理」、
「2平方数定理」、「2平方定理」、「フェルマーの平方和定理」等、
テキストによって、表記揺れがあるが、以下のような法則である。
|
※例えば、素数pに対し、√pを連分数展開したとき、
循環部分の長さ(周期)が、「余り1の素数」の場合は奇数、
「余り3の素数」の場合は偶数となる。
ガウスは、通常の整数a, bを用いて、
現在「複素整数」、或いは「ガウス整数」と呼ばれている
a+ib (a, b∈ℤ)
を考えた。ここで、1の約数を「単数」と名付けると、
通常の整数の範囲では、±1だけであるが、
ガウス整数の範囲では、虚数±i も単数となる。
従って、単数±1、±i は、全てのガウス整数を割り切る。
ガウス整数に於ける単数は、この四つだけであり、
この様な単数の掛け算により生じる数を「同伴数」と呼び、
乗除に於いては、同じ一つの数として扱う。
素数に関しても、複素数の範囲へと、考え方を拡張してみよう。
単数±1、±i と同伴数以外に、約数がない「ガウス整数」を「ガウス素数」と呼ぶ。
二つのグループに分割された奇素数のうち、「余り1の素数」は、
フェルマーの二平方定理によると、2個の平方数の和で表せるから、
必ず唯一通りの二乗和の形A2+B2に書き換えられ、
ガウス整数を用いた因数分解:
A2+B2
=(A+iB)(A-iB)
が可能となる。即ち、「余り1の素数」は、ガウス整数の範囲では、
素数ではなく、「合成数」となるのである。
一方、「余り3の素数」は、それ自身がガウス整数の範囲でも
分解不可能であり、従って、ガウス素数となる。
これは、フェルマーの二平方定理:
「素数が二つの平方数の和で表されるか否かが、4で割った余りで分類できる」
が、ガウス整数の範囲では、
「ガウス素数か否かが、4で割った余りで分類できる」
という形で再発見されたものといえるだろう。
参考文献1に、単数を◎、ガウス素数を●、その他を○で表した図が
載っていたので、以下の<pre>~</pre>内に再現してみた。
○○○●○●○○○ ○○●○○○●○○ ○●○●○●○●○ ●○●●◎●●○● ○●○◎○◎○●○ ●○●●◎●●○● ○●○●○●○●○ ○○●○○○●○○ ○○○●○●○○○ChromeやFirefoxでは、うまく表示されるが、
ガウスの弟子「アイゼンシュタイン」は、虚数単位iの代わりに、1の三乗根:
1+√3 i | |
ω= | |
2 |
ガウス整数の場合、4で割った余りが問題の鍵となったが、
アイゼンシュタイン整数は、3で割った余りが問題の鍵となる。
3で割って1余る素数は、アイゼンシュタイン整数に、
単数倍を除いて唯一通りに分解される。
一方、3で割って2余る素数は、それ以上分解できず、
「アイゼンシュタイン素数」と呼ばれている。
参考文献1に、単数を◎、ガウス素数を●、その他を○で表した図が
載っていたので、以下の<pre>~</pre>内に再現してみた。
●●○●●○●● ○●●●●●○ ●●●◎◎●●● ○●◎○◎●○ ●●●◎◎●●● ○●●●●●○ ●●○●●○●●ChromeやFirefoxでは、うまく表示されるが、
先程列挙した、25個の100以下の素数について、
ガウス整数とアイゼンシュタイン整数の定義の範囲では、
素因数分解が可能であるのか、或いは、ガウス素数や
アイゼンシュタイン素数であるのか、次の表にまとめてみた。
2 | 12+12 | アイゼンシュタイン素数 |
3 | ガウス素数 | -(1+2ω)2 |
5 | 12+22 | アイゼンシュタイン素数 |
7 | ガウス素数 | (3+ω)(2-ω) |
11 | ガウス素数 | アイゼンシュタイン素数 |
13 | 22+32 | (4+ω)(3-ω) |
17 | 12+42 | アイゼンシュタイン素数 |
19 | ガウス素数 | (5+2ω)(3-2ω) |
23 | ガウス素数 | アイゼンシュタイン素数 |
29 | 22+52 | アイゼンシュタイン素数 |
31 | ガウス素数 | (6+ω)(5-ω) |
37 | 12+62 | (7+3ω)(4-3ω) |
41 | 42+52 | アイゼンシュタイン素数 |
43 | ガウス素数 | (7+ω)(6-ω) |
47 | ガウス素数 | アイゼンシュタイン素数 |
53 | 22+72 | アイゼンシュタイン素数 |
59 | ガウス素数 | アイゼンシュタイン素数 |
61 | 52+62 | (9+4ω)(5-4ω) |
67 | ガウス素数 | (9+2ω)(7-2ω) |
71 | ガウス素数 | アイゼンシュタイン素数 |
73 | 32+82 | (9+ω)(8-ω) |
79 | ガウス素数 | (10+3ω)(7-3ω) |
83 | ガウス素数 | アイゼンシュタイン素数 |
89 | 52+82 | アイゼンシュタイン素数 |
97 | 42+92 | (11+3ω)(8-3ω) |
25個の素数のうち、ガウス素数は13個、
アイゼンシュタイン素数も13個、
しかし、両方の条件に当てはまるのは、
11, 23, 47, 59, 71, 83
の6個しかない。
ガウス整数は虚数単位i、即ち√(-1)を利用して、
整数概念の拡張を計ったものであり、
アイゼンシュタイン整数は1の三乗根ω、
即ち√(-3)を取り込んで、同様の拡張を試みたものである。
ここで、平方因子を含まない数mを用いて、整数概念を
a+b√m
と拡張すると、ガウス整数はm=-1の場合、
アイゼンシュタイン整数はm=-3の場合、と考えられる。
しかし、m=-5の場合、例えば、6を素因数分解すると、
6=2×3
6=(1+√(-5))(1-√(-5))
の二通りが考えられ、21の場合では、
21=3×7
21=(1+2√(-5))(1-2√(-5))
21=(4+√(-5))(4-√(-5))
の三通りに因数分解できてしまい、「素因数分解の一意性」が崩れてしまう。
この様な「整数」の研究は、その後「代数的整数論」や、
「類体論」と呼ばれる研究へと発展していく。
また、例えば、量子力学の調和振動子の演算子解法に於いても、
a2+b2=(a+ib)(a-ib)
という形式の因数分解は使われるが、項数を二つから三つに増やして、
a2+b2+c2
とすると、複素数の範囲でも因数分解できなくなる。
この式は、2行2列の単位行列を1で表す(或いは、EやI等で表す)と、
「パウリ行列とクォータニオン(四元数)」で触れた、
パウリ行列σx、σy、σzを利用すれば、
(aσx
+bσy
+cσz)2
=a2σx2
+b2σy2
+c2σz2
+ab(σx σy+σy σx)
+bc(σy σz+σz σy)
+ca(σz σx+σx σz)
=(a2+b2+c2)1
と展開できるから、逆に、
(a2+b2+c2)1=
(aσx
+bσy
+cσz)2
の様に分解出来る。パウリは、この計算を巧く使って、
電子の二価性(「上向きスピン」、「下向きスピン」)を示した。
さらに、ディラックは、項数が四つの場合、
a2+b2+c2+d2
を因数分解するのに必要な行列を利用して、「反粒子」の存在を示した。
さらに、今度は、冪乗(累乗)の指数を2から3へと増やして、
a3+b3
という二つの整数(或いは、二つの自然数)の三乗の和を考える。
ハーディがラマヌジャンの入院している病院に見舞いに行った時、
乗ってきたタクシーのナンバーが「『1729』というつまらない数字」
だったと言ったのに対し、ラマヌジャンは、『1729』は、
「二通りの二つの整数の三乗の和で表せる最小の数」
であることを指摘したといわれている。実際、『1729』は、
1729=1+1728=13+123
1729=729+1000=93+103
という、二通りの二つの整数の三乗の和で表せる。このラマヌジャンとハーディの逸話に因んで、
二通りの二つの整数(或いは、二つの自然数)の三乗の和で表せる数を「タクシー数」と呼ぶ。
※ラマヌジャンが、この『1729』という数に気付いたのは、
当時、「フェルマー予想」について調べていたからだと思われる。
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