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連分数展開と連分数近似

「分数ができない大学生」という本があるらしい・・・。
勿論ここでは、「小学校の算数ができない」
という意味で使っているのだろう。
では、本当に「分数は小学校で卒業」なのだろうか?

ここで、上記の本の題名の上に一文字加えて、
「連分数ができない大学生」と書き換えてみよう。
しかし、「連分数なんて聞いたこともない」
という人が多いのではないだろうか?
実際、小学校、中学校、高等学校、或いは、大学でさえ、
連分数という、分数の真の姿を教わることは、殆どないだろう。

実は、今でも連分数は、現役の数学の研究対象である。
数論、例えば、リーマン予想などにも関係があり、
アペリー定数ζ(3)が無理数であることの
証明に連分数が使われた他、カオス理論とも関係があり、
リターンプロットなどを使って解析することもある。

筆者も含め、小学校で分数の計算が得意だった場合も、
「分数は小学校で卒業」等と思い上がらずに、一度謙虚になって、
連分数の世界が表現する、その叡知の深淵を覗いてみよう。
真の意味で「分数ができる」ようになるために・・・。

目次

連分数とは何か
ユークリッドの互除法と連分数の関係
フィボナッチ数列と黄金数
平方根の連分数展開
pの周期
貴金属比とは何か
二次でない無理数の連分数展開
連分数近似
ペル方程式とは何か
連分数展開と連分数近似の応用
非正則連分数




連分数とは何か

割られる数を「分子(numerator)」、割る数を「分母(denominator)」、
この二つの数の比で表された数を「分数(fractional number)」と呼ぶ。
言い換えれば、分数で表される数は、「比(ratio)」で表すことが出来る数であり、
「有理数(rational number)」とも呼ばれるが、これは本来、「有比数」と
翻訳されるのが適切であり、「有理数」は、誤訳と思われる。

また、このとき、「分子」割る「分母」が割り切れる場合が「整数」であり、
さらに、このうち、正の数のみを「自然数」と呼んでいる。
一方、分数で表すことが出来ない数を「無理数(irrational number)」
と呼ぶが、これも「無比数」の誤訳であろう。

分母の方が分子より大きい分数のことを「真分数(しんぶんすう)」、
分母よりも分子が大きい分数を「仮分数(かぶんすう)」、
整数と真分数の和の形で表された分数を「帯分数(たいぶんすう)」と呼ぶ。
また、分数の中に更に分数が入り込んだものを「繁分数」と呼ぶ。
そして、繁分数の、そのまた更に繁分数になるような数の表し方は
「連分数(continued fraction)」と呼ばれている。

連分数の計算の仕方は、

  1. 整数部分を分離する。
  2. 小数部分の逆数を計算する。
と極めて単純である。以降、小数部分の逆数の分母に対して、同様の処理を繰り返す。
但し、ここでは原則、小数部分の逆数の分子は、全て1とする。
この分子が1の連分数のことを「正則連分数(regular continued fraction)」と呼ぶ。
単に「連分数」といった場合、「正則連分数」を指す場合が多い。
この記事では、基本的には、殆どを「正則連分数」について扱うが、
最後に、「非正則連分数」についても少しだけ触れる。




ユークリッドの互除法と連分数の関係

小学校、中学校、高等学校、或いは、大学でさえ、
連分数を教わることは、殆どないことは既に述べた。
「殆ど」と書いたが、本当に教わる機会はないのだろうか?
計算機のプログラミングの実習等で、「ユークリッドの互除法
というアルゴリズムを習ってはいないだろうか。
ユークリッドの互除法」に関しては、本サイト内の
スクリプトに導線から遷移できるようにした。

実は、「ユークリッドの互除法」のアルゴリズムは、連分数の計算手順そのものである。
「ユークリッドの互除法」は、「余り」に着目するのに対し、
連分数の計算手順では、「商」も用いるという違いはあるのだが。
但し、ユークリッドの『原論』では、割り算ではなく引き算を使っている。
オリジナルは、「互除法」ではなく、「互減法」であったのだ。

ユークリッドの互除法の終了条件は、「余り」が0となることである。
言い換えれば、ユークリッドの互除法が、有限の回数で終了する場合、
「有限連分数(finite continued fraction)」となるので、
最終結果は、分数の形で表すことができ、即ち、有理数となる。

一方、有限の回数でユークリッドの互除法の処理を打ち切ることなく、
厳密に、数式を変形することによって、連分数の計算が終了することなく、
永久に続き、永遠に終わらない場合、「無限連分数(infinite continued fraction)」
になる。即ち、無限連分数は、無理数となる。

中学校で、「有理数」は、有限小数、或いは、循環する無限小数である場合、
分数で表現でき、「無理数」は、循環しない無限小数で、分数の形に書けない、
ということを教わったかもしれないが、無限連分数にも、
「循環する無限連分数」と「循環しない無限連分数」の2種類がある。
即ち、無限連分数を考察することによって、無理数にも2種類あることが分かる。
前者を「循環連分数(recurring continued fraction)」と呼び、
特に、整数部分も含め、最初から循環節に入っている連分数を「純循環連分数」と呼ぶ。

一般に、整数係数を持つ二次方程式の解になる無理数を
「二次無理数(quadratic irrational)」と呼ぶ。
これらは連分数にすると必ず循環する。
即ち、二次無理数は、に循環連分数展開できる。
逆に、正則連分数展開が循環する数は二次無理数である。
これをまとめると、次の表の様になる。

  小数表示 連分数表示
有理数 有限小数、或いは、
循環する無限小数
有限連分数
二次無理数 循環しない無限小数 循環連分数
二次でない無理数 循環しない無限小数 循環しない無限連分数




フィボナッチ数列と黄金数

次の項をその前の二項の和で定義する漸化式:
an+2an+1ann=0, 1, 2, 3, ・・・), a0=0, a1=1
をフィボナッチ数列(Fibonacci sequence)という。具体的に列挙すると、
0, 1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89, 144, 233, 377,
610, 987, 1597, 2584, 4181, 6765, 10946, …

である。

ここで、項番を表す下付きの添え字を
累乗・冪乗を表す上付きの添え字に変更した方程式:
xn+2xn+1xn
をフィボナッチ数列の「特性方程式」と呼ぶ。
この特性方程式の解は、両辺をxnで割って、
x2x+1
と変形すると、二次方程式の解の公式より、

と求められるが、この±の二つの解のうち、正の方を
「黄金数(golden number)」と呼び、

の様に、φで表す。余談だが、左辺を2乗から3乗にした、
x3x+1
という代数方程式の唯一の実数解ρは、
「プラスチック数(Plastic number)」と呼ばれており、
ρ=1.324717957244746025960908854・・・という値である。

次に、この二次方程式:
x2x+1
に対し、両辺の平方根を取ると、
x=±√(x+1)
となるが、ここでは、正の平方根:
x=√(1+x)
のみを考え、左辺(=右辺の式全体)を
右辺の平方根√内の第2項に再帰的に代入すると、
ネスティングされてマトリョーシカみたいな入れ子構造になる。
xφとして、これを無限に繰り返すと、黄金数φの無限平方根表示:

を得る。この無限平方根表示を有限回で打ち切ったとき、
その小数表示を数値化して並べてみると、

となって、次第に黄金数φの値に漸近していくことが分かるだろう。

更に、ここで、n > 0となるnに対して、敢えて、
n=√n2 =√(n2nn) =√{n(n-1)+n}
の様に変形し、先程と同様に、左辺(=右辺の式全体)を
右辺の平方根√内の第2項に再帰的に代入すると、

という無限平方根表示を得る。幾つか具体例を挙げると、

という式が得られる。実際、2の無限平方根表示:

は、計算を繰り返せば、繰り返す程、値は2に限りなく近づいていく。

同様に、この二次方程式:
x2x+1
の両辺を更にxで割ると、
x=1+1/x
となるが、ここで、左辺(=右辺の式全体)を
右辺の第2項の分母に再帰的に代入すると、これも
ネスティングされてマトリョーシカみたいな入れ子構造になり、
これを無限に繰り返すと、無限連分数(infinite continued fraction):

になる。実際、xφとして、連分数展開すると、黄金数φの無限連分数表示:

が得られ、上記と同様の結果になることが分かる。

また、数値的には、黄金数φは、
φ=1.61803398874・・・
という小数表示でも示される。さらに、これを「ユークリッドの互除法」の
スクリプトを用いて、数桁ずつ有限連分数展開すると、

1.6=[1; 1, 1, 2]
1.61=[1; 1, 1, 1, 1, 3, 2, 2] (小数点第2位未満を切り捨て)
1.62=[1; 1, 1, 1, 1, 1, 2, 2] (小数点第2位以下を四捨五入)
1.618=[1; 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 5]
1.61803=[1; 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 3, 1, 2, 1, 1, 6, 2]
1.618033=[1; 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 11, 1, 129] (小数点第6位未満を切り捨て)
1.618034=[1; 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 2, 14, 2, 2] (小数点第6位以下を四捨五入)
1.6180339=[1; 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 3, 1, 10, 15, 1, 1, 1, 2]
1.61803398=[1; 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 2, 1, 3, 1, 1, 4, 3, 1, 2, 7] (小数点第8位未満を切り捨て)
1.61803399=[1; 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 17, 1, 1, 6, 3, 1, 5] (小数点第8位以下を四捨五入)
1.618033988=[1; 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 2, 5, 1, 1, 4, 1, 1, 1, 4, 10] (小数点第9位未満を切り捨て)
1.618033989=[1; 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 2, 10, 1, 1, 1, 650] (小数点第9位以下を四捨五入)
1.6180339887=[1; 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 5, 2, 1, 1, 4, 1, 10, 36, 2]
1.61803398874=[1; 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 14, 1, 1, 1, 9, 1, 6, 1, 65]
と展開することが出来るので、数値計算の観点からも、
φ=[1; 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, ・・・]
という連分数表示を得るだろう、と予想できる。
(ちな)みに、この連分数表示は、 循環する無限小数に(なぞら)えて、
φ=[1; 1()]
と簡略表記することも出来る。




平方根の連分数展開

黄金数φは、連分数展開すると、
純循環連分数となる二次無理数であった。
ここでは、黄金数φ以外の二次無理数の例として、
正の平方根の連分数展開について、実際に計算して
検証してみることにした。


√2の連分数展開

2の正の平方根√2の整数部分は1、小数部分は、√2-1である。
その小数部分の逆数を「分母の有理化」を使って計算すると、
再び分母に√2が出現するので、右辺の一部に、
左辺(=右辺全体)を再帰的に代入することによって、
連分数展開すると、√2の無限連分数表示:

が得られ、√2の連分数展開は、最初の1を除いて、
2が無限に続く連分数となることが分かる。

また、数値的には、√2=1.414213562・・・(一夜一夜に人見頃に・・・)
という小数表示で示されるから、これを数桁ずつ有限連分数展開すると、

1.4=[1; 2, 2]
1.41=[1; 2, 2, 3, 1, 1, 2]
1.414=[1; 2, 2, 2, 2, 5, 3]
1.4142=[1; 2, 2, 2, 2, 2, 1, 1, 29]
1.41421=[1; 2, 2, 2, 2, 2, 2, 3, 1, 1, 3, 1, 7, 2]
1.414213=[1; 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 1, 1, 4, 1, 1, 1, 1, 1, 2, 1, 6]
1.4142135=[1; 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 1, 594] (小数点第8位未満を切り捨て)
1.4142136=[1; 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 6, 1, 2, 4, 1, 1, 2] (小数点第8位以下を四捨五入)
1.41421356=[1; 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 3, 4, 1, 1, 2, 6, 8]
1.414213562=[1; 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 1, 1, 14, 1, 238, 1, 3]
と展開することが出来るので、
√2=[1; 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, ・・・]
という連分数表示を得る。
或いは、循環する無限小数に(なぞら)えて、
√2=[1; 2()]
と簡略表記することも出来る。


√3の連分数展開

3の正の平方根√3の整数部分は1、小数部分は、√3-1である。
その小数部分の逆数を「分母の有理化」を使って計算していくと、
再び分母に√3が出現するので、右辺の一部に、
左辺(=右辺全体)を再帰的に代入することによって、
連分数展開すると、√3の無限連分数表示:

が得られ、√3の連分数展開は、最初の1を除いて、
1と2が交互に無限に続く連分数となることが分かる。

また、数値的には、√3=1.7320508・・・(人並みにおごれや・・・)
という小数表示で示されるから、これを数桁ずつ有限連分数展開すると、

1.7=[1; 1, 2, 3]
1.73=[1; 1, 2, 1, 2, 2, 1, 2]
1.732=[1; 1, 2, 1, 2, 1, 2, 1, 1, 2]
1.7321=[1; 1, 2, 1, 2, 1, 2, 1, 6, 1, 2, 2, 3]
1.73205=[1; 1, 2, 1, 2, 1, 2, 1, 2, 1, 2, 2, 1, 4, 2]
1.732051=[1; 1, 2, 1, 2, 1, 2, 1, 2, 1, 2, 1, 5, 10, 2, 10]
1.7320508=[1; 1, 2, 1, 2, 1, 2, 1, 2, 1, 2, 1, 2, 1, 2, 9, 1, 3, 2, 3]
と展開することが出来るので、
√3=[1; 1, 2, 1, 2, 1, 2, 1, 2, 1, 2, ・・・] という連分数表示を得る。
或いは、循環する無限小数に(なぞら)えて、
√3=[1; 1(), 2()]
と簡略表記できる。


√5の連分数展開

5の正の平方根√5の整数部分は2、小数部分は、√5-2である。
その小数部分の逆数を「分母の有理化」を使って計算していくと、
再び分母に√5が出現するので、右辺の一部に、
左辺(=右辺全体)を再帰的に代入することによって、
連分数展開すると、√5の無限連分数表示:

が得られ、√5の連分数展開は、最初の2を除いて、
4が無限に続く連分数となることが分かる。

また、数値的には、√5=2.2360679・・・(富士山麓オウム啼く・・・)
という小数表示で示されるから、これを数桁ずつ有限連分数展開すると、

2.2=[2; 5]
2.23=[2; 4, 2, 1, 7] (小数点第2位未満を切り捨て)
2.24=[2; 4, 6] (小数点第2位以下を四捨五入)
2.236=[2; 4, 4, 4, 1, 2]
2.2361=[2; 4, 4, 4, 17, 8]
2.23606=[2; 4, 4, 4, 3, 1, 1, 6, 14] (小数点第5位未満を切り捨て)
2.23607=[2; 4, 4, 4, 4, 2, 5, 5, 5] (小数点第5位以下を四捨五入)
2.236067=[2; 4, 4, 4, 4, 7, 3, 3, 8, 2, 2] (小数点第6位未満を切り捨て)
2.236068=[2; 4, 4, 4, 4, 4, 5, 7, 5] (小数点第6位以下を四捨五入)
2.2360679=[2; 4, 4, 4, 4, 4, 2, 1, 1, 2, 12, 1, 12, 1, 2]
と展開することが出来るので、
√5=[2; 4, 4, 4, 4, 4, ・・・] という連分数表示を得る。
或いは、循環する無限小数に(なぞら)えて、
√5=[2; 4()]
と簡略表記できる。




pの周期

20までの(正の)平方根の連分数表示を以下に示す。

2 √2=[1; 2()] 7 √7=[2; 1(), 1, 1, 4()] 12 √12=[3; 2(), 6()] 17 √17=[4; 8()]
3 √3=[1; 1(), 2()] 8 √8=[2; 1(), 4()] 13 √13=[3; 1(), 1, 1, 1, 6()] 18 √18=[4; 4(), 8()]
5 √5=[2; 4()] 10 √10=[3; 6()] 14 √14=[3; 1(), 2, 1, 6()] 19 √19=[4; 2(), 1, 3, 1, 2, 8()]
6 √6=[2; 2(), 4()] 11 √11=[3; 3(), 6()] 15 √15=[3; 1(), 6()] 20 √20=[4; 2(), 8()]

素数pの正の平方根√pを連分数展開したとき、
その循環部分の長さの周期を次の表にまとめてみた。

素数p 周期 素数p 周期 素数p 周期 素数p 周期 素数p 周期
2 1 23 4 59 6 97 11 137 9
3 2 29 5 61 11 101 1 139 18
5 1 31 8 67 10 103 12 149 9
7 4 37 1 71 8 107 6 151 20
11 2 41 3 73 7 109 15 157 17
13 5 43 10 79 4 113 9 163 18
17 1 47 4 83 2 127 12 167 4
19 6 53 5 89 5 131 6 173 5

素数pが2、或いは、4n+1の場合、
その循環部分の長さの周期は、奇数になり、
素数pが4n+3の場合、
その循環部分の長さの周期は、偶数になる。
また、素数pが、n2+1の場合、周期1、
n2+2の場合、周期2、n2-2の場合、周期4、
等となる傾向があるようだ…。




貴金属比とは何か

黄金数φと黄金比

黄金数φは、別名「黄金比(golden ratio)」とも呼ばれるが、
ここでは、黄金数φに対して、1:φとなる
比のことを「黄金比」と呼ぶことにする。
黄金数φ=1.61803398874・・・は、
二次方程式:x2x-1=0の正の解であり、
連分数展開すると、φ=[1; 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, ・・・]
或いは、φ=[1; 1()] と簡略表記される。
また、黄金比は、「貴金属比(metallic ratio)」の一つで、「第1貴金属比」とも呼ばれ、
フィボナッチ数の隣接する2項の比は黄金数φとなり、黄金比に収束する(後述)。

「黄金比」は、数学の啓蒙書等にも記述が見受けられるのだが、
それがまるで美的感覚の基準であるかのように、
数学的なものと混同して論じるのは如何なものか、と思われる。
少なくとも、「美的感覚」等という主観的なものを
数学の世界に持ち込むのは、適当ではないだろう。

白銀数τと白銀比

白銀数(silver number)は、ギリシャ文字のτで表されることが多い。
白銀数は、別名「白銀比(silver ratio)」とも呼ばれるが、
白銀比には、1:1+√2(定義1)1:√2(定義2)という
二通りの定義がある。「循環連分数」の中でも、整数部分も含め、
最初から循環節に入っている連分数を「純循環連分数」と呼ぶのだが、
√2の連分数展開は、最初の整数部分の1を除いて、2が無限に続く連分数:
√2=[1; 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, ・・・]或いは、 √2=[1; 2()]
となることから、 後者の定義2は、「純循環連分数」ではないが、
これに1を足すと、整数部分も含め、2が無限に続く連分数:
1+√2=[2; 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, ・・・]或いは、 1+√2=[2; 2()]となる。
従って、前者の定義1は、「純循環連分数」である、という違いがある。

定義1の白銀数τ=1+√2=2.414213562・・・は、
二次方程式:x2-2x-1=0の正の解であり、
定義1の白銀比も、貴金属比の一つで、「第2貴金属比」とも呼ばれる。
一方、定義2の白銀比1:τ-1は、別名「大和比」とも呼ばれる。
また、白銀比と類似したものに、白金比(platinum ratio)という
1:√3の比が存在するが、こちらは貴金属比ではない。

青銅数と青銅比

青銅数(bronze number)は、二次方程式: x2-3x-1=0の正の解:

であり、これを連分数展開すると、[3; 3, 3, 3, 3, 3, 3, 3, 3, 3, ・・・]
或いは、[3; 3()] となる。また、「1:青銅数」を青銅比(bronze ratio)と呼ぶ。
青銅比も、貴金属比の一つで、「第3貴金属比」とも呼ばれるが、
人口に膾炙している前述した2つの貴金属比に比べると、知名度は低いかも知れない。

n貴金属数Mnと貴金属比

n貴金属数Mnは、二次方程式: x2nx-1=0の正の解:

であり、逆数との差が自然数nとなる正の実数である。
この貴金属数を連分数展開すると、第n貴金属数Mnの連分数表示は、
[n; n, n, n, n, n, n, n, n, n, ・・・] 或いは、Mn =[n; n()]となる。
そして、第1貴金属比であるn=1の場合が、黄金数φの連分数表示に、
第2貴金属比であるn=2の場合が、白銀数τの連分数表示に、
第3貴金属比であるn=3の連分数表示が、青銅数の連分数表示に、
それぞれ一致することが分かる。また、nが偶数、
即ち、n=2mのとき、第2m貴金属比は、
m+√(m2+1) =[2m; 2m, 2m, 2m, 2m, 2m, 2m, 2m, 2m, 2m, ・・・]
と連分数展開できることも分かる。




二次でない無理数の連分数展開

二次でない無理数の連分数展開は、少なくとも正則連分数の範囲では、
二次無理数である、黄金数φや、正の平方根の連分数展開の様に、
式変形による計算によって、循環連分数の形を導出し、
帰着させる、という手法が使えないため、ここでは、
ユークリッドの互除法」のスクリプトを用いて、小数表示を数桁ずつ、
有限連分数展開する方法によって、数値的に計算することにする。


ネイピア数eの連分数展開

ネイピア数eは、e=2.718281828・・・という小数表示で示されるから、
これを数桁ずつ有限連分数展開すると、

2.7=[2; 1, 2, 3]
2.71=[2; 1, 2, 2, 4, 3] (小数点第2位未満を切り捨て)
2.72=[2; 1, 2, 1, 1, 3] (小数点第2位以下を四捨五入)
2.718=[2; 1, 2, 1, 1, 4, 1, 12]
2.7182=[2; 1, 2, 1, 1, 4, 1, 1, 1, 3, 1, 9] (小数点第4位未満を切り捨て)
2.7183=[2; 1, 2, 1, 1, 4, 1, 1, 19, 1, 1, 3] (小数点第4位以下を四捨五入)
2.71828=[2; 1, 2, 1, 1, 4, 1, 1, 6, 10, 1, 1, 2]
2.718281=[2; 1, 2, 1, 1, 4, 1, 1, 6, 3, 12, 3, 5, 1, 2] (小数点第6位未満を切り捨て)
2.718282=[2; 1, 2, 1, 1, 4, 1, 1, 6, 1, 1, 3, 141] (小数点第6位以下を四捨五入)
2.7182818=[2; 1, 2, 1, 1, 4, 1, 1, 6, 1, 1, 11, 1, 2, 10, 6, 2]
2.71828182=[2; 1, 2, 1, 1, 4, 1, 1, 6, 1, 1, 9, 3, 1, 1, 1, 1, 1, 9, 1, 2, 2, 2] (小数点第8位未満を切り捨て)
2.71828183=[2; 1, 2, 1, 1, 4, 1, 1, 6, 1, 1, 8, 2, 1, 1, 17, 6, 1, 1, 1, 2, 2] (小数点第8位以下を四捨五入)
2.718281828=[2; 1, 2, 1, 1, 4, 1, 1, 6, 1, 1, 8, 1, 1, 3, 1, 1, 1, 2, 10, 1, 6, 2, 2]
と展開することが出来るので、
ネイピア数: e=[2; 1, 2, 1, 1, 4, 1, 1, 6, 1, ・・・]という連分数表示を得る。
ネイピア数eは超越数であり、その連分数展開は、整数部分2の後に、
(1, 2, 1), (1, 4, 1), (1, 6, 1), ・・・の様に、1に挟まれた偶数が順番に並ぶ。
上述の様に、正則連分数の範囲では、循環しないものの、それでも一定の規則性を持つ。
他に、正則連分数の範囲で、循環せず、規則性を持つ例としては、
tan 1=1.55740772465…の連分数展開: tan 1=[1, 1, 1, 3, 1, 5, 1, 7, 1, 9, 1, 11, …]
が挙げられる。これは、1が1回出てきてから奇数が順に並ぶ、という構造をしている。


円周率πの連分数展開

円周率πは、π=3.141592653589793238462643383279・・・
(産医師異国に向こう産後薬無く産婦御社に虫散々闇に鳴く…)
という小数表示で示されるから、これを数桁ずつ有限連分数展開すると、

3.1=[3; 10]
3.14=[3; 7, 7]
3.141=[3; 7, 10, 1, 5, 2]
3.142=[3; 7, 23, 1, 2]
3.1415=[3; 7, 14, 1, 8, 2] (小数点第4位未満を切り捨て)
3.1416=[3; 7, 16, 11] (小数点第4位以下を四捨五入)
3.14159=[3; 7, 15, 1, 25, 1, 7, 4]
3.141592=[3; 7, 15, 1, 84, 6, 2] (小数点第6位未満を切り捨て)
3.141593=[3; 7, 16, 983, 4, 2] (小数点第6位以下を四捨五入)
3.1415926=[3; 7, 15, 1, 243, 1, 1, 9, 1, 1, 4] (小数点第7位未満を切り捨て)
3.1415927=[3; 7, 15, 1, 354, 2, 6, 1, 4, 1, 2] (小数点第7位以下を四捨五入)
3.14159265=[3; 7, 15, 1, 288, 1, 2, 1, 3, 1, 7, 4]
3.141592653=[3; 7, 15, 1, 291, 1, 75, 1, 2, 9, 1, 3, 3] (小数点第9位未満を切り捨て)
3.141592654=[3; 7, 15, 1, 293, 11, 1, 1, 7, 2, 1, 3, 3, 2] (小数点第9位以下を四捨五入)
3.1415926535=[3; 7, 15, 1, 292, 1, 1, 6, 2, 13, 3, 1, 12, 3] (小数点第10位未満を切り捨て)
3.1415926536=[3; 7, 15, 1, 292, 1, 1, 1, 4, 1, 1, 1, 45, 1, 1, 8] (小数点第10位以下を四捨五入)
3.14159265358=[3; 7, 15, 1, 292, 1, 1, 1, 1, 1, 12, 1, 1, 4, 1, 1, 4, 1, 9, 1, 11] (小数点第11位未満を切り捨て)
3.14159265359=[3; 7, 15, 1, 292, 1, 1, 1, 2, 1, 4, 1, 1, 1, 1, 1, 3, 1, 68, 2, 4, 2] (小数点第11位以下を四捨五入)
3.141592653589=[3; 7, 15, 1, 292, 1, 1, 1, 2, 1, 2, 2, 1, 1, 11, 5, 20, 5, 1, 5, 4]
3.1415926535897=[3; 7, 15, 1, 292, 1, 1, 1, 2, 1, 3, 1, 2, 8, 15, 1, 3, 6, 3, 2, 13, 1, 5] (小数点第13位未満を切り捨て)
3.1415926535898=[3; 7, 15, 1, 292, 1, 1, 1, 2, 1, 3, 1, 21, 17, 1, 1, 1, 1, 8, 1, 7, 2, 1, 2, 2] (小数点第13位以下を四捨五入)
3.14159265358979=[3; 7, 15, 1, 292, 1, 1, 1, 2, 1, 3, 1, 12, 2, 4, 1, 1, 3, 2, 2, 1, 18, 1, 2, 2, 1, 7, 2, 2]
と展開することが出来るので、
円周率: π=[3; 7, 15, 1, 292, 1, 1, 1, 2, 1, 3, ・・・]
という連分数表示を得る。
先程のネイピア数eとは異なり、円周率πの場合は、
正則連分数展開には規則性がない、と考えられている。


アペリー定数ζ(3)の連分数展開

冒頭にて、アペリー定数ζ(3)が無理数であることの
証明に連分数が使われた、と述べた。
それは、正則連分数の範囲ではないが、
ここでは、数値計算の練習として、正則連分数の範囲で、
アペリー定数ζ(3)を連分数展開してみた。アペリー定数ζ(3)は、
ζ(3)=1.202056903159594285399738161511449990764986292・・・
という小数表示で示されるから、これを数桁ずつ有限連分数展開すると、

1.2=[1; 5]
1.202=[1; 4, 1, 19, 5]
1.20205=[1; 4, 1, 18, 1, 2, 2, 9, 3]
1.202056=[1; 4, 1, 18, 1, 1, 1, 9, 14, 1, 2]
1.2020569=[1; 4, 1, 18, 1, 1, 1, 4, 1, 10, 26, 1, 1, 10]
1.202056903=[1; 4, 1, 18, 1, 1, 1, 4, 1, 9, 6, 1, 2, 11, 2, 4, 1, 1, 1, 3, 2]
と展開することが出来るので、
アペリー定数: ζ(3)=[1; 4, 1, 18, 1, 1, 1, 4, 1, ・・・]
という連分数表示を得る。
アペリー定数ζ(3)の場合も、
正則連分数の範囲では、規則性が全く見えない。


ファイゲンバウム点aの連分数展開

冒頭にて、カオス理論とも関係がある、
リターンプロットなどを使って、
連分数を解析することもある、と述べた。
リターンプロットを使う例として、
知名度が高いのは、「ロジスティック写像」だろうか。
ロジスティック写像を解析すると、
「ファイゲンバウム点a(≈3.57)」
という、無理数が現れる。
ここでは、数値計算の練習として、正則連分数の範囲で、
ファイゲンバウム点aを連分数展開してみた。
ファイゲンバウム点は、a ≈ 3.57と近似しやすいが、
厳密には、a=3.5699456・・・という小数表示で
示されるから、これを数桁ずつ有限連分数展開すると、

3.5=[3; 2]
3.56=[3; 1, 1, 3, 1, 2]
3.57=[3; 1, 1, 3, 14]
3.569=[3; 1, 1, 3, 8, 8, 2]
3.5699=[3; 1, 1, 3, 13, 15, 3, 2]
3.56994=[3; 1, 1, 3, 13, 2, 2, 1, 3, 1, 15] (小数点第5位未満を切り捨て)
3.56995=[3; 1, 1, 3, 13, 1, 1, 14, 3, 2] (小数点第5位以下を四捨五入)
3.569945=[3; 1, 1, 3, 13, 2, 7, 1, 16, 1, 1, 3] (小数点第6位未満を切り捨て)
3.569946=[3; 1, 1, 3, 13, 2, 11, 1, 3, 1, 9, 1, 3] (小数点第6位以下を四捨五入)
3.5699456=[3; 1, 1, 3, 13, 2, 9, 1, 8, 1, 3]
と展開することが出来るので、
ファイゲンバウム点: a=[3; 1, 1, 3, 13, 2, ・・・]という連分数表示を得る。
ファイゲンバウム点aの場合も、
正則連分数の範囲では、規則性が全く見えない。


その他の連分数展開

数学や物理学、化学等のあらゆる分野において、様々な定数が登場する。
これらを数桁ずつ有限連分数展開してみると、何か新しい発見があるかも知れない。
例えば、物理学、化学における定数には、以下が挙げられる。
アボガドロ定数:NA=6.02214076×10…×1023
真空の誘電率:ε0=8.8541878128…×10-12
ディラック定数:=1.054571817…×10-34
電気素量(素電荷):e=1.602176634…×10-19
微細構造定数:α=7.2973525693…×10-3
微細構造定数の逆数:α-1=137.035999084…
プランク定数:h=6.62607015…×10-34
ボーア半径:a0=5.29177210903…×10-11
ボルツマン定数:kB=1.380649…×10-23
但し、これらは、単位系の取り方や有効数字の桁数等によって、結果が変わってくる。

一方、数学における定数は、
単位や次元や桁数といった概念に、
左右されることは少なそうである。
例えば、γ ≡ limn→∞ (1+1/2+1/3+…+1/n-logen)=0.5772156649…は、「オイラーの定数」、
或いは、「オイラー・マスケローニ定数」と呼ばれている。この値は、およそ
0.57721 56649 01532 86060 65120 90082 40243 10421 59335 93992
35988 05767 23488 48677 26777 66467 09369 47063 29174 67495…

である。この数を連分数展開すると、
γ=[0; 1, 1, 2, 1, 2, 1, 4, 3, 13, 5, 1, 1, …]
と連分数展開できる。オイラーの定数は超越数であろうと予想されているが、
無理数であるかどうかさえ分かっていない。「超越数」とは、
有理数を係数とした代数方程式の解にならない数である。
超越的な実数はすべて無理数であるが、逆は成り立たない。また、
πe=5.859874482048838473822930854632165381954416493075065…
π×e=8.539734222673567065463550869546574495034888535765114…
などの円周率πやネイピア数eの大抵の和、積、べき乗は、
有理数であるのか無理数であるのか超越的であるのか否かは証明されていない。

他にも、12音階平均律では、1オクターブを12等分する、即ち、
半音上がる毎に周波数が2の12乗根(1.0594630943593・・・)倍になる。
この数を連分数展開すると、
1.0594630943593=[1; 16, 1, 4, 2, 7, 1, 1, 2, 2, 7, 4, 1, 2, 1, 20, 7, 1, 2, 2, 2, 1, 13, 73]
と連分数展開できる。次節以降で連分数近似による
近似分数を考察してみるのも一興かも知れない。




連分数近似

連分数展開の部分和を近似分数として表すのが、「連分数近似」である。
連分数と行列は、相性が良く、繁雑な計算を機械的に行える。
但し、文献によって、行列の書き方の流儀が、多少異なっていたので、
ここでは念の為、両方の流儀を記載しておく。

【流儀1】今、αが、

と連分数展開されるとする。このαn次近似分数を pn/qnと書く。n ≥ 1のとき、

という等式が成り立つ。

【流儀2】有限連分数

の第n項までのまでの和を
Qn/Pn ≡ [q1; q2, q3, q4, ・・・ , qn]
と置き、行列を用いて書き換えると、

となる。ここでは、以降の計算には、こちらの【流儀2】の表記で記載する。


黄金数φの連分数近似

黄金数:φ=1.61803398874…の連分数展開:
φ=[1; 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, ・・・]を有限回で打ち切り、
その部分和を近似分数、及び、小数表示で次の表に示す。

連分数表示 仮分数表示 小数表示
[1] 1 1
[1; 1] 2 2
[1; 1, 1] 3/2 1.5
[1; 1, 1, 1] 5/3 1.666666666666666…
[1; 1, 1, 1, 1] 8/5 1.6
[1; 1, 1, 1, 1, 1] 13/8 1.625
[1; 1, 1, 1, 1, 1, 1] 21/13 1.6153846153846154…
[1; 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1] 34/21 1.619047619047619…
[1; 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1] 55/34 1.6176470588235294…
[1; 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1] 89/55 1.6181818181818182…
[1; 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1] 144/89 1.6179775280898876…
[1; 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1] 233/144 1.6180555555555556…
[1; 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1] 377/233 1.6180257510729614…
[1; 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1] 610/377 1.6180371352785146…
[1; 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1] 987/610 1.618032786885246…
[1; 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1] 1597/987 1.618034447821682…
[1; 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1] 2584/1597 1.6180338134001253…
[1; 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1] 4181/2584 1.618034055727554…
[1; 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1] 6765/4181 1.6180339631667064…
[1; 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1] 10946/6765 1.6180339985218033…

上記の結果より、隣り合うフィボナッチ数の比は黄金比に収束することが分かる。
しかし、循環連分数は次々に同じ数が現れるため、打ち切るべき特定の項がない。
特に、黄金数φの場合、各係数が1であることから、近似される無理数は、
最も有理数で近似することが難しい数であることが分かる。


√2の連分数近似

√2=1.414213562・・・の連分数展開:
√2=[1; 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, ・・・]を有限回で打ち切り、
その部分和を近似分数、及び、小数表示で次の表に示す。
例えば、近似分数の計算は、最初の数回を示すと、

の様になる。

連分数表示 仮分数表示 小数表示
[1] 1 1
[1; 2] 3/2 1.5
[1; 2, 2] 7/5 1.4
[1; 2, 2, 2] 17/12 1.4166666666666667・・・
[1; 2, 2, 2, 2] 41/29 1.4137931034482758・・・
[1; 2, 2, 2, 2, 2] 99/70 1.4142857142857144・・・
[1; 2, 2, 2, 2, 2, 2] 239/169 1.4142011834319526・・・
[1; 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2] 577/408 1.4142156862745099・・・
[1; 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2] 1393/985 1.4142131979695431・・・
[1; 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2] 3363/2378 1.4142136248948696・・・
[1; 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2] 8119/5741 1.4142135516460548・・・


√3の連分数近似

√3=1.7320508・・・の連分数展開:
√3=[1; 1, 2, 1, 2, 1, 2, 1, 2, 1, 2, ・・・]を有限回で打ち切り、
その部分和を近似分数、及び、小数表示で次の表に示す。

連分数表示 仮分数表示 小数表示
[1] 1 1
[1; 1] 2 2
[1; 1, 2] 5/3 1.666666666666666・・・
[1; 1, 2, 1] 7/4 1.75
[1; 1, 2, 1, 2] 19/11 1.727272727272727・・・
[1; 1, 2, 1, 2, 1] 26/15 1.733333333333333・・・
[1; 1, 2, 1, 2, 1, 2] 71/41 1.731707317073170・・・


ネイピア数eの連分数近似

ネイピア数:e=2.718281828・・・の連分数展開:
e=[2; 1, 2, 1, 1, 4, 1, 1, 6, 1, ・・・]を有限回で打ち切り、
その部分和を近似分数、及び、小数表示で次の表に示す。

連分数表示 仮分数表示 小数表示
[2] 2 2
[2; 1] 3 3
[2; 1, 2] 8/3 2.666666666666666・・・
[2; 1, 2, 1] 11/4 2.75
[2; 1, 2, 1, 1] 19/7 2.7142857142857144・・・
[2; 1, 2, 1, 1, 4] 87/32 2.71875
[2; 1, 2, 1, 1, 4, 1] 106/39 2.717948717948718・・・
[2; 1, 2, 1, 1, 4, 1, 1] 193/71 2.7183098591549295・・・
[2; 1, 2, 1, 1, 4, 1, 1, 6] 1264/465 2.718279569892473・・・
[2; 1, 2, 1, 1, 4, 1, 1, 6, 1] 1457/536 2.718283582089552・・・


円周率πの連分数近似

円周率:π=3.141592653589793238462643383279・・・の連分数展開:
π=[3; 7, 15, 1, 292, 1, 1, 1, 2, 1, 3, ・・・]を有限回で打ち切り、
その部分和を近似分数、及び、小数表示で次の表に示す。
例えば、近似分数の計算は、最初の数回を示すと、

の様になる。

連分数表示 仮分数表示 小数表示
[3] 3 3
[3; 7] 22/7 3.142857142857143・・・
[3; 7, 15] 333/106 3.141509433962264・・・
[3; 7, 15, 1] 355/113 3.1415929203539825・・・
[3; 7, 15, 1, 292] 103993/33102 3.1415926530119025・・・
[3; 7, 15, 1, 292, 1] 104348/33215 3.141592653921421・・・
[3; 7, 15, 1, 292, 1, 1] 208341/66317 3.1415926534674368・・・
[3; 7, 15, 1, 292, 1, 1, 1] 312689/99532 3.1415926536189365・・・
[3; 7, 15, 1, 292, 1, 1, 1, 2] 833719/265381 3.141592653581078・・・
[3; 7, 15, 1, 292, 1, 1, 1, 2, 1] 1146408/364913 3.141592653591404・・・
[3; 7, 15, 1, 292, 1, 1, 1, 2, 1, 3] 4272943/1360120 3.141592653589389・・・
[3; 7, 15, 1, 292, 1, 1, 1, 2, 1, 3, 1] 5419351/1725033 3.1415926535898153・・・
[3; 7, 15, 1, 292, 1, 1, 1, 2, 1, 3, 1, 14] 80143857/25510582 3.1415926535897927・・・

一般的な連分数において、係数は循環せず様々な数が現れるが、
非常に大きな数が現れたとき、その逆数は小さな数になるので、
例えば、この円周率πの例であれば、292の直前で打ち切った、
355/113という近似分数は、連分数近似の中でも近似の精度が良い。


その他の連分数近似

アペリー定数:ζ(3)=1.202056903159594285399738161511449990764986292・・・
の連分数展開:ζ(3)=[1; 4, 1, 18, 1, 1, 1, 4, 1, ・・・]
を18の直前で打ち切った近似分数も、6/5=1.2となって、近似の精度が良いことが分かる。

ファイゲンバウム点:a=3.5699456・・・
の連分数展開:a=[3; 1, 1, 3, 13, 2, ・・・]
を13の直前で打ち切った近似分数も、25/7 ≈ 3.57となって、近似の精度が良いことが分かる。




ペル方程式とは何か

ペル(Pell)方程式:x2Dy2+1は、
辺々を移項して、x2Dy2=1とすると、
双曲線を表す方程式に酷似しているが、
ペル方程式の場合は、自然数の解のみを考えるので、
実質的には、双曲線と第1象限上の格子点の
交点を考えることになるのだが、その際、
ペル方程式の自然数解は、√Dを連分数展開したとき、
その近似分数の分子と分母の組み合わせとして現れる。
何故なら、ペル方程式を因数分解すると、

となって、x/yを√Dの近似分数として、
近似できるからである。

例えば、先程、第2m貴金属比は、
m+√(m2+1) =[2m; 2m, 2m, 2m, 2m, 2m, 2m, 2m, 2m, 2m, ・・・]
と連分数展開できることを述べたが、これは、ペル方程式において、
Dm2+1とした場合であることが分かる。
実際に、√2や√5といった、√(m2+1)の近似分数を
前節の手順に従って計算し、これを(x, y)に代入すると、
x2Dy2=1を満たす解と、 x2Dy2=-1を満たす解が交互に現れる。
書籍や文献によっては、x2Dy2=±1
ペル方程式と呼ぶ場合があるのは、このような連分数近似に関して、
連分数展開の周期とペル方程式の解の関係を
簡潔に記述するため、というのが理由だろう。

また、フェルマーは、「ペル方程式において、D=61及び、
D=109の場合の自然数解(x, y)を求めよ。」
という問題を出題したことがある、という。因みに、前者は、
√61=[7; 1(), 4, 3, 1, 2, 2, 1, 3, 4, 1, 14()]
という循環連分数に展開できるのだが、
途中の「1, 4, 3, 1, 2, 2, 1, 3, 4, 1」の部分が、
前から読んでも、後から読んでも同じという、
回文になっているのは、偶然なのだろうか?一方、後者も、
√109=[10, 2(), 3, 1, 2, 4, 1, 6, 6, 1, 4, 2, 1, 3, 2, 20()]
という循環連分数に展開できるのだが、やはり
途中の「2, 3, 1, 2, 4, 1, 6, 6, 1, 4, 2, 1, 3, 2」という部分が、
前から読んでも、後から読んでも同じという、
回文になっている。これも果たして偶然なのだろうか?
いずれの場合も、各々の近似分数を構成する分子分母を(x, y)に代入すると、
x2Dy2=1を満たす解と、 x2Dy2=-1を満たす解が交互に現れる。




連分数展開と連分数近似の応用

最近、「数学や物理学は何の役に立つのか?」という話題を
耳に入れることが多いが、役に立つことを前提に学ぶべきではない。
学問は、いつ何が役に立つか分からないのだから、役に立つか立たないか、
といった不毛な議論によって、学習機会を逸することがあってはならない。
確かに、学校で教わらない連分数だが、実際、様々な問題の解決に活躍している。
ここでは、そうした連分数展開と連分数近似の応用について、具体例を挙げていく。


暦法

暦年とは、暦における1年の区切りをいう。太陽年とは、
太陽が黄道上の分点(春分・秋分)と至点(夏至・冬至)から出て
再び各点に戻ってくるまでの周期のことであり、回帰年ともいうが、
その長さは約365.24219日と半端な日数である。通常は1日の長さは
固定されているため、暦における1年の長さは1日の整数倍とする必要がある。
このように1日の整数倍となった暦上の1年を暦年というが、暦法によって暦年は異なる。

閏年(うるうどし)は、 4年に1度、2月29日が存在する年である。しかし、4で割り切れる年が、
必ずしも、閏年(うるうどし) ではない。厳密には、これらの年のうち、100で割り切れて、
400で割り切れない年は、平年となる。以上の説明は、現行の
西暦として用いられている、「グレゴリオ暦」の説明である。
一年の日数を365.24219として、これを連分数展開すると、
365.24219=[365; 4, 7, 1, 3, 24, 6, 2, 2]
と連分数展開出来る。7の直前で打ち切った近似分数を計算すると、
365+1/4=365.25という数値になる。これに従って、一年=365.25日としたのが、
「グレゴリオ暦」の前に用いられていた、「ユリウス暦」である。

今度は、3の直前で打ち切った近似分数を計算すると、
365+1/(4+1/8)=365+8/33=365.242424・・・という数値になる。
これは、33年に8回の閏年(うるうどし) という暦で、「ジャラリー暦」という。「ジャラリー暦」は、
現行の西暦である「グレゴリオ暦」よりも正確な暦である。
更に一歩先に進めると、24の直前で打ち切った近似分数を計算することにより、
365+1/[4+1/{7+1/(1+1/3)}]=365+1/{4+1/(7+3/4)}
=365+1/(4+4/31)=365+31/128=365.2421875
という数値になる。
この「128年に31回の閏年(うるうどし)」という暦は、
現在のイラン暦で採用されているらしい・・・。


円積問題

コンパスと定規だけで円と同じ面積の正方形を作図する事が可能だろうか?
この問題は、「円積問題」と呼ばれ、1882年にドイツの数学者リンデマンによって、
円周率πは、「超越数」、つまり、有理数係数の代数方程式の解にはならない、という
「リンデマンの定理」が証明され、「円積問題」は作図不可能である、ということが証明された。

ところが、1910年に論文でこのリンデマンの定理を見たインド人数学者ラマヌジャンは、
正確に同じ面積は無理かも知れないが、近似の正方形なら作図可能である、
という論文を発表した。「円積問題」において、半径1の円に対する、正方形の一辺は、
π=1.7724538509055160272・・・
という長さになるが、ラマヌジャンは、これを8√(2143/22)で近似した。
しかも、その近似の精度はかなり高いのだが、
どうやってこの近似分数を発見したのか、ラマヌジャンは書き残していない。
しかし、恐らく連分数を用いたのだろう、と言われている。

π4=97.40909103400・・・を連分数展開すると、
π4=[97; 2, 2, 3, 1, 16539, 1, 6, ・・・]と連分数展開出来る。
ここで、16539という大きい数が現れるので、
その直前で打ち切った近似分数を計算すると、
97+9/22=2143/22=97.4090909・・・という数値になり、
π4の非常に良い近似となるので、ラマヌジャンは、
その8乗根を√πの近似として用いたのだろう。


√2の近似分数の応用問題

√2の近似分数の応用問題に次のような問題がある。
「左から順に1番地、その右隣が2番地、更にその右隣が3番地、・・・
という通りがあり、ある番地を境目に、その番地よりも左側の番地番号の総和と
その番地よりも右側の番地番号の総和が丁度同じになるという。この境目となる
番地は何番で、通りには全部で何軒の家が建っているか。」という問題である。

書籍には、ラマヌジャンと同じく、インド人数学者のマハラノビスが、
雑誌からこの問題を見つけてきて、ラマヌジャンが連分数を用いて、
この問題を解いたと書かれていた。その際は、通りの家の軒数は、
50軒以上1500軒以下である、という条件が付いていた。

通りの家の軒数をn、境目となる番地をmとすると、
1+・・・+(m-1)=(m+1)+・・・+n
という等式を満たすことが分かる。これは、等差数列の和の公式より、
m(m-1)/2=(m+1+n)(nm)/2
m2m=(nm)+(nm)(nm)
m2nn2m2
2m2n(n+1)
という式に変形出来る。この等式を満たすm, nを探すことになる。

番地を横軸に、その数値を縦軸にとって、棒グラフを描くと、
直角二等辺三角形の様な形状になる。m番地よりも左側の
直角二等辺三角形の面積は、全体の直角二等辺三角形の面積の
約半分になるから、n/m≒√2となって、
n/mが√2の近似分数として求まりそうだ。

右辺の隣り合う自然数、nと(n+1)の一方は奇数、他方は偶数である。
左辺の2m2は、素因数に平方数m2を含んでいるので、
nも(n+1)も素因数に平方数を含まなければならない。
従って、奇数の方は平方数、偶数の方は平方数の2倍となる。
x2Dy2=±1 この場合、をペル方程式と呼べば、x2y2
いずれか一方がn、他方が(n+1)、D=2の場合となる。

D=2の場合のペル方程式を満たす(x, y)は、
x/yが√2の近似分数として与えられる。
√2の1次近似分数は、3/2なので、(x, y)=(3, 2)のとき、
n=2y2=8, (n+1)=x2=9, m2=8・9/2=36=22・32m=2・3=6

√2の2次近似分数は、7/5なので、(x, y)=(7, 5)のとき、
nx2=49, (n+1)=2y2=50, m2=49・50/2=52・72m=5・7=35

√2の3次近似分数は、17/12なので、(x, y)=(17, 12)のとき、
n=2y2=288, (n+1)=x2=289, m2=288・289/2=122・172m=12・17=204

以上より、通りの家の軒数は、50軒以上1500軒以下である、という条件なので、
通りの家の軒数は「288軒」、境目となる番地は「204番地」である。




非正則連分数

ここまで、「連分数」といえば、「正則連分数」を意味していた。
これに対して、「非正則連分数」は、「正則連分数」でない連分数全般を意味するが、
狭義には、「非正則連分数」とは、連分数の分子の部分が1ではない場合である。

無限和や無限積から非正則連分数に書き換える方法や、
それらを利用した関数連分数もある。
但し、一般の非正則連分数から無限和や無限積に直すことは出来ない。
このことは非正則連分数が級数よりも様々な数を
表現できるということを意味している。

例えば、ネイピア数eの連分数表現には、正則連分数展開:
e=[2; 1, 2, 1, 1, 4, 1, 1, 6, 1, ・・・]
以外にも、次式が知られている。

「連分数」といえば、分子に1が並ぶもの以外に、次の様に

という、応用上重要な「関数項連分数」もある。
ここで、x=1を代入し、左辺の分母・分子にeを掛けると、

となる。これを連分数表現で表すと、
tanh 1=[1, 3, 5, 7, 9, 11, …]
と書けるが、この様に、双曲線正接関数は、上述の正接関数の場合:
tan 1=[1, 1, 1, 3, 1, 5, 1, 7, 1, 9, 1, 11, …]
とは、似て非なることが分かる。

円周率πの非正則な連分数による展開の中には、
規則性を持つものが存在する。例えば、

という式や、1655年、イギリスのブラウンカーが示した、
連分数を用いた円周率πの公式:

が知られている。




参考文献

  1. 「虚数の情緒―中学生からの全方位独学法」(東海大学出版会、2000年)
  2. 「オイラーの贈物―人類の至宝e=-1を学ぶ」(東海大学出版会、2010年)
    ※連分数近似の行列の書き方は、【流儀2】が用いられている。
  3. 「素数夜曲―女王陛下のLISP」(東海大学出版会、2012年)
  4. 「連分数のふしぎ」(講談社ブルーバックス、2012年)
    ※連分数近似の行列の書き方は、【流儀1】が用いられている。
    ※ペル方程式x2Dy2+1
  5. 「素数が奏でる物語」(講談社ブルーバックス、2015年)
    ※ペル方程式x2dy2=±1 (dは平方数でない自然数)
    x2py2=1のみをペル方程式と呼ぶこともあるが、
    本書ではx2py2=±1をペル方程式と呼ぶ。
    x2py2=-1をペル方程式に含めるのは、
    連分数展開の周期とペル方程式の解の関係を簡潔に記述するため。
  6. 「連分数のまとめノート」(暗黒通信団、2016年)
    Pell(ペル)方程式
  7. 連分数 - Wikipedia
  8. 貴金属比 - Wikipedia
  9. ペル方程式 - Wikipedia



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