テイラー展開(Taylor expansion)の中には、無限等比級数の和を求めることと
逆の関係になっているものや、それを積分することで、
容易に導かれるものがある。今回はそれらを利用して、
級数の収束・発散を調べる。但し、収束域には注意する必要がある。
参考までにその様子をグラフ作成ツール「gnuplot」を用いて描いておく。
まず、初項a,公比rの等比数列の第n項までの総和Sn:
を求める。SnからSnのr倍を引くと、
![]() |
![]() |
従って、Snの式は次の様に表せる。
ちなみに、公比が1 < |r|のときは発散し、
r=-1のときは振動するので、収束しない。
ここで、無限等比級数の和S:
は、Snでn → ∞ という極限をとったものであるから、
と導かれる。但し、以下では初項a=1とする。
無限等比級数の和Sの式において、r=-xのとき、
と表せる。さらに両辺を積分すると、
となるので、ここでx=1を代入すると、
を得る。上記の結果をグラフ作成ツール「gnuplot」を用いて、グラフ化する。
「gnuplot」を起動して、以下のコマンドを入力し、グラフを生成する。
(勿論、出力先のディレクトリは、各自の環境に応じて適宜変更する。)
set terminal png set xrange[-1.1:1.1] set yrange[-1.1:1.1] set xtics 0.1 set ytics 0.1 set grid plot log(1+x) replot x replot x-x**2/2 replot x-x**2/2+x**3/3 replot x-x**2/2+x**3/3-x**4/4 set output 'c:\temp\taylorofln1px.png' replot x-x**2/2+x**3/3-x**4/4+x**5/5 exit |
無限等比級数の和Sの式において、r=xのとき、
と表せる。さらに両辺を積分すると、
となるので、ここでx=1を代入すると、
であることより、
となることが分かる。上記の結果をグラフ作成ツール「gnuplot」を用いて、グラフ化する。
「gnuplot」を起動して、以下のコマンドを入力し、グラフを生成する。
(勿論、出力先のディレクトリは、各自の環境に応じて適宜変更する。)
set terminal png set xrange[-1.1:1.1] set yrange[-1.1:1.1] set xtics 0.1 set ytics 0.1 set grid plot -log(1-x) replot x replot x+x**2/2 replot x+x**2/2+x**3/3 replot x+x**2/2+x**3/3+x**4/4 set output 'c:\temp\taylorofln1mx.png' replot x+x**2/2+x**3/3+x**4/4+x**5/5 exit |
arctanxの定義より、
であるから、これを微分すると、次の様になる。
これは、無限等比級数の和Sの式において、
r=-x2としたときに他ならないから、
と表せる。これを積分して原始関数に戻してやると、
となるので、x=1を代入して、
を得る。これはグレゴリー(Gregory)級数、
或いはライプニッツ(Leibniz)の級数と呼ばれている。
上記の結果をグラフ作成ツール「gnuplot」を用いて、グラフ化する。
「gnuplot」を起動して、以下のコマンドを入力し、グラフを生成する。
(勿論、出力先のディレクトリは、各自の環境に応じて適宜変更する。)
set terminal png set xrange[-1.1:1.1] set yrange[-1.1:1.1] set xtics 0.1 set ytics 0.1 set grid plot atan(x) replot x replot x-x**3/3 replot x-x**3/3+x**5/5 replot x-x**3/3+x**5/5-x**7/7 set output 'c:\temp\taylorofarctan.png' replot x-x**3/3+x**5/5-x**7/7+x**9/9 exit |
arctanhxの定義より、
であるから、両辺にey+e-yを掛けて、
さらに、両辺にeyを掛けて、
yの式にする為に、辺々を移項して、
両辺を1-rで割って、
となる。従って、arctanhxは自然対数を用いた形:
で表せることが分かる。これを微分すると、
となるが、これは無限等比級数の和Sの式において、
r=x2としたときに他ならないから、
と表せる。これを積分して原始関数に戻してやると、
となるので、x=1を代入して、
となることが分かる。上記の結果をグラフ作成ツール「gnuplot」を用いて、グラフ化する。
「gnuplot」を起動して、以下のコマンドを入力し、グラフを生成する。
(勿論、出力先のディレクトリは、各自の環境に応じて適宜変更する。)
set terminal png set xrange[-1.1:1.1] set yrange[-1.1:1.1] set xtics 0.1 set ytics 0.1 set grid plot atanh(x) replot x replot x+x**3/3 replot x+x**3/3+x**5/5 replot x+x**3/3+x**5/5+x**7/7 set output 'c:\temp\taylorofarctanh.png' replot x+x**3/3+x**5/5+x**7/7+x**9/9 exit |