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速習・量子力学
第肆講 水素原子

前講「調和振動子」でも述べたが、
実際にシュレーディンガー方程式が正確に解けるのは、

  1. ポテンシャルのない場合(自由粒子)
  2. 調和振動子の場合
  3. 水素原子中の電子
の3つの場合しかなく、これ以外は、多かれ少なかれ
摂動論やWKB近似等の近似計算に頼るしかない。

ここでは、水素原子中の電子について述べるが、初学者を念頭に置いているため、
高等学校の原子物理分野の「水素原子のスペクトル」から始める。
しかし、例えば、リュードベリ定数Rの定義式さえ、書籍によって、
クーロン定数k0と、真空の誘電率ε0のどちらを用いるか、
プランク定数hと、ディラック定数のどちらを用いるか等によって、
表記に用いられている記号もかなり異なるので、文献を比較する際に
混乱が生じさせないよう、これらの表記についてもまとめるつもりである。

また、3次元のシュレーディンガー方程式を球座標に変換する際の途中式は、
殆どの書籍において、記載が省略されており、途中計算が正しいかどうか、
確認する道標となる文献がない状態が生じることが多い。
ここでは、練習として、2次元のシュレーディンガー方程式を
極座標に変換するところから、始めるつもりである。

目次

水素原子のスペクトル
水素の同位体
2次元極座標のシュレーディンガー方程式
3次元球座標のシュレーディンガー方程式
水素原子のシュレーディンガー方程式(角度φ方向の解)
水素原子のシュレーディンガー方程式(角度θ方向の解)
量子数




水素原子のスペクトル

水素原子は、高等学校の原子物理分野では、
eの正電荷を持つ陽子の周囲を、-eの負電荷を持つ電子が、
静電気力(クーロン力)の引力によって回っている、
というボーア模型で説明されている。その場合、
静電気力(クーロン力)F及び、向心方向の運動方程式は、

となる。この時点で、クーロン定数k0=9.0×109を用いた場合と、
真空の誘電率ε0=8.854×10-12を用いた場合の
二通りの表記があることに注意しよう。更に、最終行で、
後の計算のために、両辺に半径rを掛けた式を準備しておく。

次に、電子が持つ、静電気力(クーロン力)による位置エネルギー
(以下、「静電エネルギー」と呼ぶ)U及び、
それに運動エネルギーを加えた全エネルギーEは、

となる。先程の向心方向の運動方程式の最終行の変形式を用いれば、
全エネルギーEが速度vを用いた表記と、半径rを用いた場合の、
クーロン定数k0と、真空の誘電率ε0の二通り、
計三通りの表現が可能であると分かる。

続いて、ボーアの量子条件を用いる。「ボーアの量子条件」は、
円周上に入る波の数が丁度整数個になる条件であり、
これを次の様に変形して、速度vの式にする。

この時、プランク定数h=6.6×10-34を用いた場合と、
ディラック定数=1.05×10-34を用いた場合の
二通りの表現が可能であることも分かる。

即ち、クーロン定数k0と、真空の誘電率ε0のどちらを用いるか、
プランク定数hと、ディラック定数のどちらを用いるかによって、
2×2=4[通り]の表現が可能になる。多くの書籍が、真空の誘電率ε0
プランク定数hの組み合わせで書かれているようだが、
文献によっては、記号が異なる場合もある。
勿論、各記号の定義に従えば、相互に変換することは可能であるが、
混乱を生じさせないために以下の表にまとめておく。

  クーロン定数k0を用いた場合 真空の誘電率ε0を用いた場合
プランク定数h
を用いた場合
ディラック定数
を用いた場合

n=1を基底状態(ground state)、n>1を励起状態(excited state)、
特に、n=2を第1励起状態、n=3を第2励起状態、…と呼ぶ。
半径rnの式にて、n=1を代入すると、
基底状態の半径r1は、定数aとなる。
この定数aを「ボーア半径」、rを「リュードベリ定数(Rydberg constant)」、
エネルギーEnの式にて、n=1を代入すると、定数ξ は、
基底状態のエネルギーE1に他ならないことが分かる。その値は、
ξE1=13.6[eV]
である。

上記のリュードベリの式で表される水素スペクトル系列のうち、
n=1、n'=2, 3, 4, …のときを「ライマン系列(Lyman series)」、
n=2、n'=3, 4, 5, …のときを「バルマー系列(Balmer series)」、
n=3、n'=4, 5, 6, …のときを「パッシェン系列(Paschen series)」、
n=4、n'=5, 6, 7, …のときを「ブラケット系列(Brackett series)」、
n=5、n'=6, 7, 8, …のときを「プント系列(Pfund series)」、
n=6、n'=7, 8, 9, …のときを「ハンフリーズ系列」、
そして、このn'からnへの変化を「遷移(transition)」と呼ぶ。
「バルマー系列」は、可視光程度の波長を持ち、1885年に最も早く発見されている。
また、ライマン系列は全て紫外光領域、パッシェン系列は全て赤外光領域である。
※教科書等の中には、n'の代わりにmを用いて、
リュードベリの式をmnで表している文献もある
(どちらの変数からもう一方の変数を引くのかも文献毎に様々である)が、
既に、質量の意味で使われているmとの混同を避けるために、
ここでは、n'を用い、リュードベリの式をnn'で表している。
また、後述の磁気量子数にもmが用いられているが、
勿論、このmにも質量という意味はない。




水素の同位体

ここでは、重水素とか三重水素について、
陽子数p、中性子数n、電子数eを比較して、
以下の表にまとめておく。

  英語名 記号 陽子数p 中性子数n 電子数e 備考
陽子 プロトン
proton
p 1 0 0 電子が離れてイオン化した
水素イオン1H
陽子そのものであるため、
化学の領域では水素イオンを
プロトンと呼ぶことが多い。
水素イオン hydrogen ion 1H
水素 hydrogen 1H 1 0 1  
重陽子 ジュウテロン
デューテロン
deuteron
2H
D
1 1 0 重水素の原子核。陽子1つと中性子1つから構成される。
重水素 heavy hydrogen 2H
D
1 1 1 ・天然に存在する水素のうち、0.015%を占める。
・陽子ひとつと中性子ひとつと電子ひとつからなる。
・工業的には水を電気分解すると重水素の方が
遅れて分解されることを利用して生産される。
・重水素と酸素が化合したものを重水という。
水とは化学的性質がかなり異なるため、
生物にとっては毒である。
狭義には化学式D2O、すなわち重水素二つと
質量数16の酸素によりなる水のことを 「重水」と言い、
単に「重水」と言った場合はこれを指すことが多い。
別名に酸化重水素 (deuterium oxide, Water-d2) など。
自然界では、D2Oとしての重水はほとんど存在せず、
重水はDHOの分子式(半重水)として存在する。
二重水素 ジュウテリウム
デューテリウム
deuterium
三重陽子 トリトン
triton
3H
T
1 2 0 三重水素核。陽子1個と中性子2個で構成される。
三重水素 トリチウム
tritium
3H
T
1 2 1 ・天然に存在する水素のうち、10-16%を占める。
・放射性物質であり、半減期は12.3年。
放射線自体は極めて弱いため、人体への悪影響はない。
・核分裂で発生した処理水の放射性物質を、
「alps」によってほぼ大半を除去した上で、
除去が難しいが影響の弱いトリチウムを
人体への影響が出ない程度に薄めに希釈した上で
処理する、と言うのが各国の処理法の恒例。
・陽子ひとつと中性子ふたつと電子ひとつからなる。
・蛍光塗料と一緒に詰めたトリチウム管として、
腕時計の針などに使用される。
三重水素(トリチウム)を含む水のことを
トリチウム水」と呼び、
水素・トリチウム・酸素各1原子で
構成されたもの(化学式HTO)、
重水素・トリチウム・酸素各1原子で
構成されたもの(化学式DTO)、
トリチウム2原子・酸素1原子で
構成されたもの(化学式T2O)
の3つがある。広義の重水である。

現在では、これ以降、四重水素、五重水素、六重水素、
七重水素、八重水素まで、合成されているようだ。
※以下は、「量子統計力学」の範疇になるため、参考程度ではあるが、
ヘリウム3(3He)は、(p, n, e)=(2, 1, 2)で、
フェルミ・ディラック分布に従う、 フェルミ粒子(フェルミオン)
ヘリウム4(4He)は、(p, n, e)=(2, 2, 2)で、
ボース・アインシュタイン分布に従う、 ボース粒子(ボソン)である。
後者は、「 レーザー冷却」等を行うことにより、
ボース・アインシュタイン凝縮(Bose-Einstein condensation、略してBEC)」
によって、「 超流動」という現象を引き起こす。
この現象は「 グロス・ピタエフスキー方程式」という、
量子流体力学」分野の 「 非線形シュレディンガー方程式」で説明される。




2次元極座標のシュレーディンガー方程式

2次元直交座標(x, y)と2次元極座標(r, θ)の変換式は、

で与えられるので、rの式をxで偏微分した式、rの式をyで偏微分した式、
θの式をxで偏微分した式、θの式をyで偏微分した式はそれぞれ、

と計算できる。これより、以下の式:

が成り立つので、2階偏微分も同様に、

と計算できる。両者の和をとると、辺々が相殺されて、

となり、2次元極座標のラプラシアンが導出される。

上記の2次元直交座標のラプラシアンから2次元極座標のラプラシアンへ変形させる式を用いれば、
2次元直交座標のシュレーディンガー方程式から、2次元極座標のシュレーディンガー方程式:

へ変形出来る。時間に依存しないシュレーディンガー方程式に関しても同様に、

と変形出来る。




3次元球座標のシュレーディンガー方程式

3次元の極座標には、円柱座標と球座標の2種類がある。
ここでは、3次元球座標について考える。
3次元直交座標(x, y, z)と3次元球座標(r, θ, φ)の変換式は、

で与えられるので、rの式をxで偏微分した式、 rの式をyで偏微分した式、rの式をzで偏微分した式、
θの式をxで偏微分した式、θの式をyで偏微分した式、 θの式をzで偏微分した式、
φの式をxで偏微分した式、φの式をyで偏微分した式、 φの式をzで偏微分した式はそれぞれ、

と計算できる。但し、φの式にzが含まれていないことは明白なので、
最後の式が0となることは自明である。これより、以下の式:

が成り立つので、2階偏微分も同様に、計算できる筈である。

まずは、xの2階偏微分を計算してみる。xの1階偏微分は、3つの項から構成されているので、
xの2階偏微分を計算した場合には、以下の9つの項が生じることになるだろう。

ここでは、煩雑になることを避けるため、これら9つの式を順に、(1)~(9)と付番しておく。

次に、yの2階偏微分を計算してみる。yの1階偏微分も、3つの項から構成されているので、
yの2階偏微分を計算した場合にも、以下の9つの項が生じることになるだろう。

やはり、煩雑になることを避けるため、これら9つの式を順に、(10)~(18)と付番しておく。

続いて、zの2階偏微分を計算してみる。zの1階偏微分は、2つの項から構成されているので、
zの2階偏微分を計算した場合には、以下の4つの項が生じることになるだろう。

同様に、煩雑になることを避けるため、これら4つの式を順に、(19)~(22)と付番しておく。

ここで、先程の(1)~(9)式と(10)~(18)式を足し合わせると、
(3)式と(12)式、及び、(6)式と(15)式は、
完全に正負が逆なので、打ち消し合い、相殺される。
また、cos2 φ+sin2 φ=1であることから、
(1)式と(10)式、(2)式と(11)式、(4)式と(13)式、(5)式と(14)式は、
まとめることができるので、これらをまとめた式を順に、(23)~(26)と付番しておく。
また、(7)式と(16)式の2項目同士、(8)式と(17)式の2項目同士、(9)式と(18)式の1項目同士は、
完全に正負が逆なので、打ち消し合い、相殺されるが、
(7)式と(16)式の1項目同士、(8)式と(17)式の1項目同士、(9)式と(18)式の2項目同士は、
やはり、sin2 φ+cos2 φ=1であることを用いて、
まとめることができるので、これらをまとめた式も順に、(27)~(29)と付番しておく。

さらに、先程の(19)~(22)式と、足し合わせてまとめた(23)~(29)式:

を足し合わせると、まず、(20)式と(24)式、及び、
(21)式の1項目と(25)式の2項目、(22)式と(26)式の1項目同士は、
完全に正負が逆なので、打ち消し合い、相殺される。
また、(19)式と(23)式は、cos2 θ+sin2 θ=1であることから、
そして、(21)式の2項目と(25)式の1項目、(22)式と(26)式の2項目同士も、
やはり、sin2 θ+cos2 θ=1であることを用いて、 次の様にまとめることができる。

但し、(21)式の2項目と(25)式の1項目は足し合わせた後、さらに(27)式とまとめられる。
最後に、(28)式と(29)式も加えて、全ての項の和をとると、

となり、3次元球座標のラプラシアンが導出される。
要点としては、一番上の行に示したように、
5つの項から構成されるという点である。
上から二番目の行のように、後ろの3つの項を
1/r2で括って表している文献もあるし、
一番下の行に示したように、積の偏微分を逆算して、rの偏微分とθの偏微分を、
それぞれ一つの項としてまとめて表している文献もあるが、
決して3つの項だけから構成されているわけではなく、展開すれば、
本質的には、5つの項から構成されるという点には注意を要する。

上記の3次元直交座標のラプラシアンから3次元球座標のラプラシアンへ変形させる式を用いれば、
3次元直交座標のシュレーディンガー方程式から、3次元極座標の中心力場のシュレーディンガー方程式:

へ変形出来る。時間に依存しないシュレーディンガー方程式に関しても同様に、

と変形出来る。

※この3次元球座標のラプラシアンの導出過程は、図形を用いて説明している文献もあるが、
計算のみで導出する場合は、教科書の演習問題として出題される場合が殆どで、
その解答として、上記の様な詳細な途中計算を掲載している文献は殆ど存在しないだろう。
しかも、この導出計算の経験者の中には、「二度と計算したくない」と言う者も多い。
この3次元球座標のラプラシアンの導出過程は、手元に途中計算の原稿があったので、
それを整理して記事にすることにした。このサイトでは、主に初学者を対象として、
学習用にそういった煩雑な計算の詳細を掲載することを目的としている。
筆者の所感としては、この「3次元球座標のラプラシアンの導出」の計算量は、
「二重振り子の運動方程式」や「トンネル効果」よりやや多い程度、
「三重振り子の運動方程式」よりはやや少ない程度、といったところであろうか。




水素原子のシュレーディンガー方程式(角度φ方向の解)

水素原子は1個の陽子と1個の電子からなる2粒子系であるが、
陽子は電子の約1840倍の質量を持っているので、
陽子は水素原子の中心に固定されており、
電子だけが動いているとみなすことにする。
水素原子のポテンシャルエネルギーは、rの関数:

  1 e2
V(r)=-

  4πε0 r
として表されるので、
まずは、上記の3次元極座標の中心力場のシュレーディンガー方程式に、
この水素原子のポテンシャルエネルギーV(r)を代入し、
次に、波動関数を変数rの関数R(r)と、
変数θ、及び、変数φの関数 Y(θ, φ)に変数分離するため、
ψ(r, θ, φ) =R(r)Y(θ, φ)
と置き、両辺を-2/2mで割り、r2を掛けると、

と表される。また、ここで、角度θφのみに関係する
演算子Λ(θ, φ)を次の様に定義すると、 3次元球座標のラプラシアンは、

と表される。量子化学の書籍によると、この演算子Λ(θ, φ)は、
「ルジャンドリアン(Legendrian)」と呼ばれているらしい。

そこで、このルジャンドリアン演算子Λ(θ, φ)を用いて、
さらに、両辺をR(r)Y(θ, φ)で割ると、 水素原子のシュレーディンガー方程式は、

の様に、変数rの関数R(r)と、
変数θ、及び、変数φの関数 Y(θ, φ)の式に
変数分離することが出来る。但し、左辺をλと置き、
右辺は、両辺に-1を掛けて、-λと置いた。
また、変数はrのみの関数になったので、
偏微分記号は常微分記号に変えている。

続いて、先程変数分離した、下の式の両辺にY(θ, φ)を掛けて、
Λ(θ, φ)Y(θ, φ) =-λY(θ, φ)
として、式の右辺を左辺に移項すると、
Λ(θ, φ)Y(θ, φ) +λY(θ, φ)=0
ここで、変数θ、及び、変数φの関数 Y(θ, φ)を
変数θの関数Θ(θ)と、 変数φの関数Φ(φ)に変数分離するため、
Y(θ, φ) =Θ(θ)Φ(φ)
と置き、代入してみると、
Λ(θ, φ)Θ(θ)Φ(φ) +λΘ(θ)Φ(φ)=0
となる。これをルジャンドリアン演算子Λ(θ, φ)を用いずに、
元の変数θと変数φで表した式に戻すと、

の様に、変数θの関数Θ(θ)と、
変数φの関数Φ(φ)に変数分離の式に
変数分離することが出来る。但し、左辺をνニューと置き、
右辺は、両辺に-1を掛けて、-νニューと置いた。
また、それぞれの式の変数はθのみ、φのみの関数になったので、
ここでも偏微分記号は常微分記号に変えている。

ここで、定数をνニューと置いたばかりではあるが、 さらに、新たな定数mを導入して、
νニューm2
と置き換えておいた方が分かりやすい。この記号mは、
慣用的なもので、紛らわしいが、粒子(電子)の質量ではない。
すると、以下の2階同次線形常微分方程式:

d2  

Φ(φ)+m2Φ(φ)=0
dφ2  
の一般解は、
Φ(φ) =AeimφBeimφ
と書けるだろう。




水素原子のシュレーディンガー方程式(角度θ方向の解)

これまでrθφで変数分離した式のうち、
φの式に関しては、2階同次線形常微分方程式で表せたが、
以降、rθの式に関しては、少し複雑になり、ルジャンドル陪関数
(「ルジャンドルの陪関数」や「ルジャンドルの陪多項式」とも表記される)や、
ラゲールの陪多項式等を用いて解いていくことになる。
その導出方法や計算過程は、殆どの教科書に記載されており、
文献による記号の差異も比較的少ないので、
詳細はそちらを参考にした方がいいだろうと思われるが、
需要がありそうであれば、このページにも追記する予定である。



※「Rodrigues」には、「ロドリーグ」という読み方と
「ロドリゲス」という読み方があるが、
前者の方が、フランス人の読み方に近いはずである。

※「ばい」は「従う」という意味である。






量子数

電子の軌道は、(n, l, m)という三つの変数で指定されたものしか存在できない。
このnを「主量子数(principal quantum number)」、
lを「方位量子数(azimuthal quantum number)」、
或いは、「軌道角運動量量子数」や、「軌道量子数」、
mを「磁気量子数(magnetic quantum number)」と呼ぶ。
主量子数:n=1, 2, 3, 4, ……は、それぞれK殻、L殻、M殻、N殻、……に相当する。
方位量子数、或いは、軌道角運動量量子数:l=0, 1, 2, 3, …… (l<n)は、
それぞれs 軌道、p 軌道、d 軌道、f 軌道であり、
s は「sharp(くっきり)」、p は「principal(主要な)」、
d は「diffused(広がった)」、f は「faint(ぼやけた)」の頭文字で、
各水素スペクトル線の特徴を意味しているのだが、f 以降は、
アルファベット順に、ghi、……と続く。
但し、lは、nより小さくなくてはいけなくて、
mの絶対値は、l以下でなくてはならない。


主量子数 方位量子数
軌道角運動量量子数
磁気量子数
n=1(K殻) l=0(s 軌道) m=0
n=2(L殻) l=0(s 軌道) m=0
l=1(p 軌道) m=0, ±1
n=3(M殻) l=0(s 軌道) m=0
l=1(p 軌道) m=0, ±1
l=2(d 軌道) m=0, ±1, ±2
n=4(N殻) l=0(s 軌道) m=0
l=1(p 軌道) m=0, ±1
l=2(d 軌道) m=0, ±1, ±2
l=3(f 軌道) m=0, ±1, ±2, ±3





参考文献

量子力学の書籍

  1. 「なっとくする量子力学」(講談社、1994年)
    ※リュードベリ定数Rは、真空の誘電率ε0、 プランク定数hを用いて表記されている。
    ※86頁の式:1/λm, nR(-1/n2+1/m2)
    ※111頁から112頁にて、「l=0はs項(sharp:スペクトルが鋭い)、
    l=1はp項(principal:主要項だった?)、
    l=2はd項(diffusion:ボヤけていたらしい)、
    l=3はf項(fundamental:基礎項か?)」と書かれていた。
    ※「ルジャンドルの陪関数」表記(225頁)
  2. 「単位が取れる量子力学ノート」(講談社、2004年)
    ※22頁のリュードベリ定数Rは、真空の誘電率ε0、 プランク定数hを用いて表記されている。
    (19頁の計算では、真空の誘電率ε0とプランク定数hが用いられており、
    156頁の計算では、真空の誘電率ε0とディラック定数が用いられている。)
    ※3次元球座標のラプラシアンの導出過程は、 255頁から260頁にて、図形を用いて説明している。
    ※「ルジャンドル陪関数」表記(143頁)
  3. 「今日から使える量子力学」(講談社、2006年)
    ※105頁の式:1/λR(1/m2-1/n2)
    ※109頁などで、波動関数を「φ」(HTML:「&#966;」或いは「&#x3C6;」、TeX/LaTeX:「\varphi」)、
    角度を「ϕ」(HTML:「&#981;」或いは「&#x3D5;」、TeX/LaTeX:「\phi」)で表しているが、
    TeX/LaTeXと違い、HTMLはフォント依存で両者の区別がされない場合があるので、
    本記事では、波動関数には、「ψ」を用いて表すことにする。
    ※118頁の計算では、真空の誘電率ε0とディラック定数が用いられている。
    ※「ルジャンドルの陪関数」表記(115頁)
  4. 「裳華房テキストシリーズ - 物理学 量子力学」(裳華房、2007年)
    ※135頁から145頁の計算では、真空の誘電率ε0とディラック定数が用いられている。
    ※142頁の式:ΔEξ(1/m2-1/n2)
    ※「ルジャンドルの陪多項式」表記(121頁)
  5. 「講談社基礎物理学シリーズ 6 量子力学」(講談社、2009年)
    ※136頁などで、波動関数を「φ」(HTML:「&#966;」或いは「&#x3C6;」、TeX/LaTeX:「\varphi」)、
    角度を「ϕ」(HTML:「&#981;」或いは「&#x3D5;」、TeX/LaTeX:「\phi」)で表しているが、
    TeX/LaTeXと違い、HTMLはフォント依存で両者の区別がされない場合があるので、
    本記事では、波動関数には、「ψ」を用いて表すことにする。
    ※16頁の式:1/λR(1/n2-1/m2)
    ※14頁から17頁のリュードベリ定数Rの計算では、真空の誘電率ε0、 プランク定数hを用いて表記されている。
    ※154頁から157頁の計算では、真空の誘電率ε0と、 プランク定数hとディラック定数の両方が用いられている。
    ※「ルジャンドルの陪多項式」表記(140頁)
  6. 「よくわかる量子力学」(東京図書、2011年)
    ※ボーア半径、リュードベリ定数Rは、相対運動の換算質量をμとし、
    クーロン定数k、プランク定数hを用いて表記されている。
  7. 「趣味で量子力学」(理工図書、2015年)
    ※42頁、及び、48頁の計算では、真空の誘電率ε0と ディラック定数が用いられている。
    ※3次元球座標のラプラシアンの導出過程は、 201頁から210頁にて、zで偏微分した場合のみ説明している。
    ※他の文献における変数λα、 変数νニューβ(36頁から37頁)
    ※「ルジャンドル陪関数」表記(39頁)
  8. 「量子力学 キャンパス・ゼミ」(マセマ、2015年)
    ※リュードベリ定数Rは、真空の誘電率ε0、 プランク定数hを用いて表記されている。

その他の文献

  1. 「物理のための応用数学」(裳華房、1988年)
  2. 「理系なら知っておきたい化学の基本ノート[物理化学編]」(中経出版、2003年)
  3. 「単位が取れる量子化学ノート」(講談社、2004年)
  4. 「重水素とは (ジュウスイソとは) [単語記事] - ニコニコ大百科」
    https://dic.nicovideo.jp/a/%E9%87%8D%E6%B0%B4%E7%B4%A0
  5. 「三重水素とは (サンジュウスイソとは) [単語記事] - ニコニコ大百科」
    https://dic.nicovideo.jp/a/%E4%B8%89%E9%87%8D%E6%B0%B4%E7%B4%A0

Wikipedia

  1. 水素原子におけるシュレーディンガー方程式の解 - Wikipedia
  2. 水素スペクトル系列 - Wikipedia
  3. 水素の同位体 - Wikipedia
  4. ヘリウムの同位体 - Wikipedia



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