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スツルムリウビル型微分方程式まとめ

これまで、述べてきた、エルミート多項式(Hermite polynomial)
チェビシェフ多項式(Chebyshev polynomial)
ルジャンドル多項式(Legendre polynomial)等は、
グラムシュミット(Gram-Schmidt)の直交化法による
導出が可能であること等の共通点を持つが、これらの多項式が満たす微分方程式は全て、
スツルムリウビル(Sturm-Liouville)型微分方程式と呼ばれる、微分方程式の一種である。




スツルムリウビル型微分方程式とは何か

今回述べる、スツルムリウビル(Sturm-Liouville)型微分方程式であるが、
「スツルム」は、「シュツルム」や「シュトゥルム」、
「リウビル」は、「リウヴィル」や「リュービル」、
「リューヴィル」等の様に表記に揺らぎがある他、
「自己随伴演算子(エルミート演算子)」を用いたりして表せることから、
「自己随伴型」微分方程式等とも記されることがある。
この種の問題では、変分問題と固有値問題とが同等であるので、
一方の問題を解くのが難しいときに、他方の問題を解くという手法を可能にする。

ここでは、「スツルムリウビル型微分方程式」と表記するが、この微分方程式は、
スツルムリウビル型微分方程式
という形をしている。固有値λn に対して、
固有関数fn が対応するという点は、
エルミート行列の固有値問題に酷似している。

また、この微分方程式において、p(x)、q(x)、
重み関数w(x)、λn等を変えることにより、
これまでに述べた、エルミートの微分方程式チェビシェフの微分方程式の他、
ルジャンドルの微分方程式やラゲールの微分方程式、
ベッセルの微分方程式等にも変形することが出来る。
ここでは、これらを変化させて、順にそれぞれの微分方程式を導出する。




エルミートの微分方程式

エルミートの微分方程式になる条件
と置くと、
エルミートの微分方程式に変形する途中式
となって、両辺をw(x)で割ると、エルミート(Hermite)の微分方程式:
エルミートの微分方程式
が得られる。




チェビシェフの微分方程式

チェビシェフの微分方程式になる条件
と置くと、
チェビシェフの微分方程式に変形する途中式
となって、両辺をw(x)で割ると、チェビシェフ(Chebyshev) の微分方程式:
チェビシェフの微分方程式
が得られる。




ルジャンドルの微分方程式

ルジャンドルの微分方程式になる条件
と置くと、
ルジャンドルの微分方程式に変形する途中式
となって、ルジャンドル(Legendre) の微分方程式:
ルジャンドルの微分方程式
が得られる。




ラゲールの微分方程式

ラゲールの微分方程式になる条件
と置くと、
ラゲールの微分方程式に変形する途中式
となって、両辺をw(x)で割ると、ラゲール(Laguerre) の微分方程式:
ラゲールの微分方程式
が得られる。




ベッセルの微分方程式

ベッセルの微分方程式になる条件
と置くと、
ベッセルの微分方程式に変形する途中式
となって、両辺w(x)で割ると、ベッセル(Bessel) の微分方程式:
ベッセルの微分方程式
が得られる。




スツルムリウビル型微分方程式まとめ

名称 区間 p(x) q(x) λn 重み関数w(x)
三角関数 [0,2π] 1 0 1 1
双曲線関数 [0,2π] 1 0 -1 1
エルミート多項式
(Hermite polynomial)
(-∞,∞) exp(-x2) 0 2n exp(-x2)
チェビシェフ多項式
(Chebyshev polynomial)
[-1,1] (1-x2)1 / 2 0 n2 (1-x2)-1 / 2
ルジャンドル多項式
(Legendre polynomial)
[-1,1] 1-x2 0 n(n+1) 1
ラゲール多項式
(Laguerre polynomial)
[0,∞) xex 0 n ex
ベッセル関数
(Bessel function)
[0,∞) x x n2 1 / x



参考文献

  1. 「物理のための応用数学」(裳華房、1988年)
    ※「シュツルム-リウビル方程式」表記
  2. 「なっとくする化学数学」(講談社、2003年)
    ※「ストゥルム-リウビル方程式」表記
  3. 「独習者のための理系大学数学」(工学社、2010年)
    ※「スツルム=リウビル方程式」表記
  4. 「振動と波動」(プレアデス出版、2012年)
    ※「シュトゥルム=リュービル方程式」表記



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