変分法の解析力学への応用として、
ラグランジュの運動方程式を考える。
まず最初に、オイラー・ラグランジュ方程式を導出した後、
様々なラグランジアンに対して、これを適用する。具体的には、
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次に、現実の単振動(調和振動)は、減衰振動になり、
LC回路は、RLC直列回路になること、及び、それらを
2階同次線形常微分方程式として立式した際の解法について述べる。
関数y(x)に対して、
という形で、微小なズレを関数η(x)として定義する。
ここで、積分汎関数:
が極値をとる為の条件は、これを微小量εで
微分したものが0になることなので、部分積分より、
を得る。但し、境界条件として、η(x)は積分区間の両端で0であるとした。
従って、次の微分方程式を得る。
この微分方程式は、オイラー・ラグランジュ方程式と呼ばれる。
ラグランジアンℒを
の様に定義すると、ラグランジアンℒは、
であり、これに対するオイラー・ラグランジュ方程式は、
となる。解析力学においては、この微分方程式を
ラグランジュの運動方程式と呼ぶ。これを解くと、
という結果を得る。これは、2階微分方程式:
の形で表すことが出来る。
続いて、ラグランジアンℒを
の様に定義する。水平方向にx軸、鉛直下向きにy軸を取ると、
x座標、y座標及びそれぞれの方向の速度、
運動エネルギーK、ポテンシャルエネルギーUは、
となるので、ラグランジアンℒは、
であり、これに対するラグランジュの運動方程式は、
となる。これを解くと、
という結果を得る。これは、2階微分方程式:
の形で表すことが出来るが、ここで、微小振動の場合、
sinθ ≈ θと近似出来る。
これは、先程の2階微分方程式と同様の形となり、「角単振動」と呼ばれる。
微小振動として近似しない場合、単振り子の等時性は破られ、
その周期は、楕円積分によって表される。
今度は、ラグランジアンℒを
の様に定義すると、ラグランジアンℒは、
であり、これに対するオイラー・ラグランジュ方程式は、
となり、電磁気学においても、オイラー・ラグランジュ方程式を
適用することが出来る。但し、この微分方程式は回路方程式であるので、
これをラグランジュの運動方程式とは呼ばないであろうが。これを解くと、
という結果を得る。これは、2階微分方程式:
の形で表すことが出来る。
上記で述べた、単振動(調和振動)や、LC回路は、
抵抗や電気抵抗が存在しない理想的な状態であり、
相空間(位相空間)に時間経過を可視化した際、状態は「保存系」となる。
しかし、現実においては、単振動(調和振動)は、
空気抵抗や摩擦による抵抗が発生して、減衰振動になるし、
LC回路は、電気抵抗が発生する為に、実際は、RLC直列回路となる。
従って、相空間(位相空間)において状態は「散逸系」となり、
これを「保存系」にする為には、外部から力を加えて、
「強制振動」させたり、回路に電圧を印加したり等する必要がある。
理想 | 現実 |
---|---|
単振動(調和振動) | 減衰振動 |
LC回路 | RLC直列回路 |
減衰振動の運動方程式や、
RLC直列回路の回路方程式は、
2階同次線形常微分方程式となる。
「強制振動」や、回路に電圧を印加した場合は、
「非同次」型の微分方程式になる。
また、単振り子は、微小振動として近似しない場合、
sinθを含む為、「非線形」の微分方程式となり、
解析的に解くには、楕円積分や
楕円関数の知識が必要となる。
微分方程式を分類する用語について、
以下の表に簡単にまとめてみた。
n階 | 最高次の導関数の階数。 n=2であれば、2階微分方程式。 |
---|---|
常微分/偏微分 |
常微分方程式:未知関数の偏微分を含まない。 偏微分方程式:未知関数の偏微分を含む。 |
線形/非線形 (線型/非線型) |
線形:解同士が線形性を持つ。 (解同士の和や定数倍も解になる。) 非線形:解同士が線形性を持たない。 ※「線形」を「線型」と表記するテキストもある。 |
同次/非同次 (斉次/非斉次) |
同次:全ての項が未知関数を含むか0である。 非同次:未知関数や0以外の項が含まれている。 ※「同次」を「斉次」と表記するテキストもある。 |